本に戻っていく
今朝、あさイチに作家の西加奈子さんが出ていて、面白かったし、すごく大事なことをたくさん言っていました。
とても密度の濃い言葉たちで、お話の内容も多岐にわたっていたので、じょうずに要約とかできない…
というか、密度が濃すぎて広すぎて、「な、何言ってたんだっけ…!」状態。
自分の記憶力の悪さが嫌になります。
文字おこしとか、ないかなあ。
とにかく、本がすごく読みたくなりました。
※追記
文字おこしは見つからなかったですが、トークの内容を簡潔にまとめたサイト(こちら)や西さんおすすめの本をまとめたサイト(こちら)を後日見つけました。
私、小さい時から本が大好きでした。
文章を書くことも好きで、得意と言える科目は国語くらいしかありませんでした。
大学でもそれ以外選択肢ない、みたいな感じで、日文科に行ったんですが(…ちょっと嘘です。社学も受けたけど落ちた)、文系でも文学部(しかも日文)って少数派で、普通の人は経済とか法を選ぶものなんですね。
その時は考えてもみなかった。
文学部なんてなんにもならないという人もいるかもしれませんが、すくなくとも私は、そこで学んだことは自分にとって意味のあるものでした。
生きるのに直接結びつくようなスキルではないけど、生きていくことの意味や、すこしだけ生きやすくなるためのヒントを教えてくれるような。
でもいつからだろう、本をあまり読まなくなった。読めなくなったんです。
まず、会社に入ってしばらくしたら、結構ストレスにまみれてしまって、本に割くリソースが自分のなかになくなってしまった。
それがきっかけだったかもしれません。
そしてiphoneに変えてからは、手のひらの中に、退屈を紛らわしてくれる短くて楽ちんな読み物をたくさん手に入れた(はてなブックマークとか…)。
画面の大きさに最適化された、読みやすい文字。
それに慣れてしまうと、本のあの厚みや重みとか、文字の細かさとか、それだけでなんだかめんどうくさく感じるようになってしまった。
読書というか、文字を読む体験は、そのために自分の時間を割くものではなくて、自分のあいた時間をただすぽっと埋めるだけのものに変わっていきました。
本を読むのは、退屈を紛らわすためというのと(それはスマホで読める文章で代替できた)、やっぱり上に書いたような「生きていくことの意味や、すこしだけ生きやすくなるためのヒントを教えてくれるような」何かを求めている、というのがあったと思います。
私の場合音楽が好きだったので、そちらの目的も音楽で代替できていたかもしれません。
音楽を聴くことも、本を読むことよりずっと楽だから。
音楽の力もやっぱりすごくて、何度励まされて、勇気をもらったか。
ある時、昔からの友達と飲んでて、「今おもしろい本とかマンガとかない?」(あ、私マンガもわりと好きです)と聞かれて、なんにも思い浮かばなかったことがあって。
「◯◯(私)らしくないねー」みたいに言われて、ちょっとショックでした。
あー私、ずいぶんつまんない人間になっちゃったなーって。
また本に戻るきっかけをくれたのは、海外での生活とkindleでした。
海外で暮らしていてやることがない時、kindleでよく本(とマンガ)を買っていました。
kindleがなかったら、膨大な時間をつぶすことができなかったと思います。
私はkindle paperwhiteを持っていたのですが、paperwhiteって軽くて、あの本の重さとか厚みとかみたいなものから解放されるんですよね。
あと、文字のサイズ、行間の幅も調整できて、自分のいちばん読みやすい感じに画面を調整できるんです。
それで、本を読むことへの「面倒臭さ」みたいなものが大分うすれました。
私、まだ本読めるじゃん!って、ちょっと自信を取り戻せました。
でも、結婚して「生活」を始めるようになったら、興味の対象が変わって、実用的なもの(料理本とか片付け本とかお金の本とか)とか、「もっと常識人にならなくては!」みたいな感じで池上さんの本とかばかり読んでました。
最近、やっと、物語への興味が戻ってきました。
きっかけは、「村上さんのところ」です。
質疑応答のなかで、度々村上さんは「物語の力」みたいなものを語られていて(例えばこれ)、やっぱりあるよなあ、って改めて思い出したんです。
本を読んでいて、
「これって、自分のことを書いているんじゃないか。」
「書いてあることが、ぜんぶ、自分のことみたいに理解できる。」
っていう瞬間。
奇跡みたいな、宝物みたいな嬉しさ。
(音楽にもそうゆうの、ありますね。「これって、自分のことを歌っているんじゃないか。」)
普段、普通に生活していて、人と人とが、全く同じように思いを共有することって難しいと思うんです。
だって、違う人間だから。
だからすごく孤独だなあと思ったりするけど、本を読むっていう体験を通して、自分とまるで同じみたいに感じられる物語に出会って、孤独が癒やされるわけではないけど、すこし前に向かっていけるような気がしたり、行動の指標をもらえたりとか。
ああ、そんな思いをまた体験したいなあ!って思ってたところで、今朝の西加奈子さんを見て、その思いが更に高まりました。
本って、やっぱり、面白いですよね。
本に戻っていくことができて、良かったです。
- 作者: 西加奈子
- 出版社/メーカー: 小学館
- 発売日: 2014/10/29
- メディア: 単行本
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★★★
昨日、週刊はてなブログで今週のお題のエントリを取り上げていただきました。
初めてのidコールにときめきました。
ありがとうございます。
最近色々書きたい気持ちがとまらなくて、楽しいです。