全てがあった

健康診断で、久しぶりに一人で電車に乗って新宿に出かけた。電車に乗ったのは4ヶ月ぶりくらい。車で来ることはあったけど、街中を歩くのなんて何年ぶりとかかもしれない。

 

かつては通学、通勤共に定期圏内だったのもあり、新宿には来慣れていたけど、今は完全なるアウェイ。色んなものが新しくなっていたし、街を歩いた途端に、ああここには全てがあるなと思った。普段生活していて、これが欲しいなー、でもあそこまで行かないとないなー、ってことばかりだけど、新宿に行けば何だってある。でも今は、新宿までの距離が、心理的にとてもとても遠く感じる。子供を連れて行くのもハード、そんな中でお店を見るのもハード、そもそもコロナ禍でスーパーハード。

 

健康診断を終えて、せっかくだからランチでもしたいなと思ったけれど、換気が良くて、混んでなくて、程よい感じのお店…なんて思うと、無限の選択肢がある新宿でそれを見つけるのはとても困難に感じて、すごすごと帰りの電車に乗った。でも、最寄り駅の近くで良いお店を見つけてふらりと入る事ができた。本当に久しぶりの一人ランチ。ここのところずっと美味しいパスタが食べたいと思っていたので幸せだった。ちなみに私はワクチン2回接種済みです。リスクは承知の上でございます、と注釈をつけなきゃいけない窮屈な世の中。

 

新宿でそびえ立つビル群を見ながら、次女(2歳半)はまだこの光景を知らないかもしれないと思った。人生の半分以上がコロナ禍だから、彼女の記憶に残る範囲では、ここまでの都心に出てきたことはないんじゃないかな。長女は一応色んなものを知っている。デパートも、ショッピングモールも、遊園地も、お祭りも、花火大会も、コンサートも、映画も、アンパンマンミュージアムも。でも次女は圧倒的に知らないし、なかなか連れて行くこともできない。本当はもっと色んなものを見せてあげたい。悲しい。

 

そんなことを考えてる自分はきっと子供への愛はある、そう信じたい。

 

歩きながら、片耳にイヤホンをつけてまたラジオを聞いていた。伊集院光のラジオに、甲本ヒロトがゲストで出ていた回。ヒロトは、ただ起きて、ご飯を食べて、そんなことが幸せだって言ってた。今は、そんな普通のこと全部が子供に邪魔されてる日々だ。こんな言い方、ひどいと思うけど、体感としてはそうなんだ。全てがスムーズにいかない、没頭させてもらえない。だから全部が面倒くさくなる。でも、子供は成長するから、きっと私も少しずつ自由を取り戻していくだろう。そうしたら、普通のことがきっとまた幸せに感じられるはず。元々私は、そう感じられる心を持っていたはずだから。