はてな題詠「短歌の目」10月
前回の記事で枡野浩一さんについて書いて、「私も結構短歌好きなんだよなあ」と改めて思い(紹介したのはエッセイだけど…)、以前から気になっていたこちらに初めて参加させていただくことにしました。よろしくお願いいたします。
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1. 上様
上という苗字の人の領収書の宛名はいつも上様だよね
2.まれ
まわれまわれ世界よまれに止まりそうになりながらなおまわれまわれよ
3.ピアノ
鍵盤のうえではねたり踊ったりしてる小人を昨日見かけた
4.星座
きらきらと光る星々君の名はなんとか座とか聞いたけれども
5.々
日々それなりに色々と細々と是々非々あれど楽しい暮らし
6.G
地面へとまっさかさまに落ちてゆく腹の底からGを感じる
7.眠
寝ても寝てもいつも眠くて起きたけどやっぱり夢だまた眠らせて
8.紫
「紫は欲求不満の色だよ」「ハイ、それが何か」「別に何でも」
9. ひたひた
ひたひたの水につかったじゃがいものようだもうすぐ溺れるところ
10.【枕詞】秋の田の
秋の田の様子など見たこともないもちろん春も夏も知らない
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昨日の夜眠れなくて、夜中の勢いで一気に書きました。後でルールを見て、「お題」は必ず歌の中に入れる、とあることに気付いたのですが、既に完成させてしまったあとだったので、今回はいくつかの歌でスルーさせていただいています。すみません。
たまに何かを考えている時に思いついたことが57577っぽくなることがあって、そういう時にふと「そうだ、短歌、作ろう」とか思うことはあったのですが、結局うまく出てこなくて、でもこんな風に「お題」があると何とかしぼりだすことができるんだなあと思いました。でも枕詞は投げやりな感じになってしまいました。全っ然出てこなかった。
ところで8の「紫は欲求不満の色だよ」というのは私がほんとうに言われたことのある言葉で、私は当時紫色の服をたまに好んで着ていて、そう言われて、ちょっと気分を害したけれど、「そうなんだーえへらえへら」みたいな感じで笑ってごまかし、この歌の中の人のように毅然と「それが何か」なんて言い返せませんでした。そんな思い出。