ビジネススクールの意義が腑に落ちたこと


最近、夫がビジネススクールのようなところに通い始めました。
2週間に1回、週末にわざわざ新幹線で東京まで。
交通費+@は会社の補助が出るそうだし、夫はやる気だし、応援しようと思っていました、が…

心の奥底にふつふつと、マグマのように燃えたぎる、

そういう意識高い系っぽいものごとへの、偏見。


TOEICとか簿記とか、そういうわかりやすいものなら想像がつくのですが、漠然とした「ビジネススキル」のためのスクールってなんなのだろう。
クリティカル・シンキングとかイシューとかコミットメントとかグルーピングとかピラミッドストラクチャーとかフレームワークとか(夫のテキストを勝手にぺらぺらとめくりながら)、なんかもうね、日本語で言ってくれよとしか思えないわけですよ。


そんな風に思ってしまうのは、私は以前勤めていた会社ではクローズドマーケット(さっき自分で日本語で言えよとか言ってましたが、「閉じられた市場」っていうのもなんかわかり辛いな…)での卸売業みたいなすごく小規模な仕事をしており、そういう業態って、ひたすらこつこつと目の前の顧客の信頼を積み重ねていくことが大事というか、選挙で言えばドブ板みたいな感じで、そういったカタカナっぽいビジネスの考え方が馴染まないというか、あまり必要性を感じなかったんですね。
(実際に「ファシリテーター研修」というカタカナっぽい研修が導入されたこともあったけど、あまり効果を感じられなかったという経験もある。)

基本的には顧客に流動性がないので、新しいアイデアを出し合って色々試してみても定着しなくて、結局は古くから用いられている伝統的な手法が一番じゃん、っていうところに帰着したり。

やっぱりカタカナの言葉ってくらいだからそういうのって海外から輸入された考え方なんだろうし(実際のところ知りません推測です)、グローバルな規模というか、顧客の絶対数が多い企業向きなんじゃないだろうか。

まあ、目の前の仕事を常に俯瞰して整理して効率化したり改善点を探したりするとかは何の業態でも業種でも職種でも必要なことで(というか家事しててもそういうの大事だし)、そういった内容も含まれているんだろうけど。


そんな感じで、ビジネススクールの効果とか必要性とかが、自分の実感として理解できていないし想像もしづらいみたいな状態で、夫を心の底から応援できずなんとなくもやもやとしていたのですが、昨日の夜寝ようとしていたら、ふいに夫がこんな問題を投げかけてきたのです。


「あるレストランで、料理の提供が遅いということに対してお客さんからクレームが入った。
 さてどうする?
 3分で30個考えて。」


まさに寝耳に水というか、えええええってなりました。

3分で30個、無理!

「ひたすら謝る」
「料理の提供が遅い理由=クオリティの高い食べ物を提供するためであるということを真摯に説明」
「お茶など、ちょっとおいしい飲み物を提供して、待ち時間の不快感を軽減する」

…くらいしか私は思い浮かばなかったのですが、この問題は実際に夫がビジネススクールで問われたものなんだそうです。

「オペレーションを見なおして効率化」
「スタッフの数を増やす」
「テレビや雑誌、本などを用意して、待ち時間を楽しんでもらう工夫をする」

とか、その場でどんどん手が挙がって、色んな意見が出たんだそうです。
(講師によって、個人の意見の「量」と「質」に対して3段階の評価で毎回成績がつけられるらしい。こわい。)


ひえー、そんなことしてるのか。なんか大変そう…。

スピード感と数というか、するするとアイデアが出ることと、それをするすると言語化することが大事なのか。
そういう力を養うための授業なわけか。

そんなことを考えて、ふと、あ、それってこの本に書いてあったようなことじゃん、と思いました。

ゼロ秒思考  頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング

ゼロ秒思考 頭がよくなる世界一シンプルなトレーニング


この本はタイトルにもあるように「ゼロ秒」で「思考」することを目指すための本で、そのための訓練として、下記のような「メモ書き」をすること提唱しています。

A4用紙を横置きにし、1件1ページで、1ページに4〜6行、各行20〜30字、1ページを1分以内、毎日10ページ書く。

メモには1ページごとに表題をつけて(例えば「どうして夫を応援できないのか」とか)、それに沿った考えを4〜6行ほど箇条書きにします(例えば「・意識高い系に偏見があるから」とか)。
それを1枚1分で書き、1日10枚、つまり1日10分書くということを習慣にするんだそうです。

書く内容は自由で、他人に見せる必要はないので、下手くそでもいい、とにかく頭に浮かんだことをそのまま書くのがいいとのこと。

そのように「頭に浮かぶ疑問、アイデアを即座に書き留めること」で、

頭がどんどん動くようになり、気持ちも整理されるようになる。
自意識にとらわれ悩むことがなくなっていく。
「メモ書き」により、誰でも、この境地にかなり早く到達できる。
自分でも驚くほど頭の回転が速くなる。

といった効果が得られるんだそうです。

本の内容についてはこちらのブログに詳しく書かれていました。

『ゼロ秒思考』メモ書きでモヤモヤを吐き出し、スッキリ爆速。 - プロジェクトマネジメントの話とか


私はこの本を2ヶ月前くらいに読んだのですが、なんで現在働いていない私がこういったビジネス的な本を読んだのかというと、頭の中で考えた内容を言葉にして伝えることがもんのーーーーーすごくへたくそという自負があったからです。

時間をかけて文章にすることは何とかできるのですが、瞬発的に言葉にするっていうのがどうしてもうまくできなくて、考えの断片みたいな言葉ばかりが飛び出してしまい、話している相手を「ハァ?意味わからん」みたいにさせてしまうことが、ほんとうによくあって…。

だから、こういうアウトプットの訓練をすれば、もっと言葉にするのがうまくなれるんじゃないか、と思ったのです。


…でも私は、この訓練をやらずに、このブログを書き始めたんですけどね。
この本がきっかけのひとつだったとは思います。

思ったことをこうして書き留めることで、自分の頭が整理されて、言葉も以前より出て来やすくなった気がするので、ブログを書き始めてよかったと思っています。

でも、「超長くて冗長になってしまう」というのが、自分のブログの欠点だと思っています…情報の取捨選択がうまくできないというか、全部の過程を書いておきたくなってしまう。

そうすると結局、「伝わりにくい」んだろうなー、ということはすごく思います。

「書きたいことを書く」と「伝えたいことを書く」のどっちをとるか、って考えると、私は自分が書きたいから書いているだけなのでどうしても前者に重きが置かれて、結局いつも長ーーーくなってしまいます。

そういう「伝える」ための訓練としてはやっぱり、「ゼロ秒思考」のメモ書きがいいんだろうな。
スピード感も養えるし。

ビジネスや日常生活では、やっぱり「伝える」力が大事だよなー。


あ、話がそれて、なんかブログ論みたいになってきてしまった。(こういうのが悪い癖です)


とにかく「ゼロ秒思考」の本は私にとって有意義な内容だったので、夫がビジネススクールでやっていることもこの本と通じる内容なのであれば、それはきっと有意義なんだろう。
とやっと腑に落ちた次第です。
(この結論を書くのにどうしてこんなに長くなるんだろう…)


でも、興味の対象がそういったビジネス的なことばっかりになってしまうと、人としての奥行きがなくなってしまいそうだなーとも思うので、夫もほどほどくらいに頑張ってくれればいいなーと思います。