心がこもっていない言葉はわかる


 最近、仕事で、「まあ別に聞かなくても大丈夫なことだけど、形として聞いておいたほうがいっか」みたいな場面での自分の言葉があまりに心がこもっていないというか、言おうとして言っている感が我ながらビンビンに感じられて、その言葉を発した途端に落ち込んでしまったりする。思っていないなら言うなよ、って感じ。

 それは例えば、退社する時に、先にあがるのを遠慮してる体で「何かやれることありますか?」と聞いてみたりだとか(ほんとうは、やるべきことは終わっているので「帰っても大丈夫だろう」と判断している)。朝、当番制じゃないけど、手があいている誰かが必ずやらなきゃいけない仕事を他の人がやってくれた時に、「あ、お願いしていいですか?すみません。」みたいに一声かけたりだとか(ほんとうは、それを自分がやる時は何とも思っていないので、他の人がやってくれた時はありがたいけど、申し訳ないとまでは思っていなかったり。ありがとうございますっていう方が適切かあ)。

 前提として、今の職場の方々は、みなさんとても信頼できる方々なんですよ。先に帰る人に文句言ったり、自分の仕事を減らすために人に押し付けたり、やらなきゃいけない仕事だけど他の誰かがやってくれるのを待ったり、とか、そうゆう人はひとりもいない。以前勤めていた会社はそんな人ばっかりだったので、こんな環境はほんとうにありがたいなあと思う。

 だからこそ、形だけの声がけなんて、必要ないというか。そういうところで何かを判断したり評価する人はいないから。

 それでも、人間関係の潤滑油的な感じで、言って悪いことはないとは思うんだけど、それが嘘くさく響くなら、っていうか、結局のところ、自分を良く見せようとして、思ってもいないことを言うくらいなら、そうゆうのはもうやめよう。って、つくづく反省したのでした。自戒としての文章。


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 接客とか、電話応対とかも、形だけの、マニュアル通りの言葉って、受け取る側にはわかるよね。その言葉を手順として言わなきゃいけないから、言っている感。

 仕事で結構電話をとるんだけど、「お世話になっております。」「ありがとうございます。」「よろしくお願いいたします。」を言う時には、それなりに心をこめることができていると思う。だって、ほんとうにそう思っているからね。

 でも悩みなのが、電話を切る時の「失礼いたします。」で、これって、自分も電話口のむこうの相手も両方が使う言葉じゃん。どっちが先に言うべきなのか、言われたら同じように言い返しているけど、言った/言われた途端に電話を切られたりするし、言うタイミングとか作法がいまいちよくわかっていないところがあって、うまく心をこめることができない。納得して使っていないというか。みんなどういう感じで使ってるのかなあ。

 まあ、世の中には、言葉の意味に特に納得していなくても、心がこもっていなくても、ほんとうに心の底から言ってます!みたいな感じで言える、接客のプロみたいな人もいっぱいいると思う。それができるなら、意味を理解して、納得したうえで心をこめるなんて、かえって遠まわりなのかもしれないな。

 ただ私はそういうのがそんなにうまくないので、そういうスキルを身につけようとするよりも、だったら遠まわりするほうが自分にとっては楽な気がするので、それを心がけようと思ったのでした。取り急ぎ「失礼いたします。」の意味をググるか。