あの日々、あの感じ


 夫の会社のおじさんたちとの飲みに、のこのこと同席してきた。そのおじさんたちは夫がかつて赴任していた国で一緒に働いていた人たちで、私がそこにいた時期とはかぶっていないけれど、日本に帰ってきてから何度か飲んだこともあるし、「あの感じ」をわかちあえる、それだけでなんだか、勝手に気心が知れたような気になってしまう人たちなのだった。

 ふたりとも孫がいるような年齢で、夫とは会社の直接の上下関係がないから、気楽な上から目線でばかすかとものを言う。笑いながら、お前は何にもわかってないんだからなって。でも夫は嬉しそう。そういう間柄が、今となってはとても貴重なものになってしまった。

 夫は「海外から帰ってきた人」みたいな感じで、今の部署では、未だにどこかお客さん扱いみたい。どうせすぐ出て行くんでしょ?って。その心の距離を埋めるのはなかなか難しいみたいで、大変そう。

 それとは全然関係ないけど、私は今の仕事先ではちーんとおとなしくしていて、自分が少しだけ海外で暮らしていたことも、特に人に話していない(なんか話すタイミングを逃して、なぜか隠してるみたいになってしまった…ばか)。あの日々は今となってはもう夢みたいに遠い出来事。自分の心の中だけにしまっておくと、ますます遠くなってうすまってゆく。

 でも、確かにあったんだ。あの日々、あの感じ。楽しかったよね。すごく特殊だった。でも、知ってる人たちの間では、普通みたいにわかちあえるから。だから嬉しい。また会いたいな。