初めての不妊治療体験記


先月、初めて不妊治療を専門にしているクリニックに行ってきた。

ヨシっと思い立った勢いで予約して行った感じで、事前知識もほとんどなかったので、当たり前だけど行ってみて初めてわかったことがたくさんあり、せっかくなので書いておこうと思う。

以下、単なる記録です。
ただ読むには相当長いですし、生々しい話が多く不快になる方もいらっしゃると思うので、参考にしたい方、興味のある方だけどうぞ。

私の状態


子どもが欲しいと思ってもうすぐ1年が経つ。
スマホのアプリで基礎体温をつけており、半年くらいはアプリで「妊娠の可能性が高い」とされている時期にタイミングをとっていたが、なかなかできず。

そんな時に作家の川上未映子さんの「きみは赤ちゃん」という妊娠・出産にまつわるエッセイ本(面白い)を読み、排卵検査薬というものの存在を知ってネットで購入。

以降は排卵検査薬で出た排卵の時期に合わせてタイミングをとってみるも、やっぱりなかなかできず、今に至る。

クリニックについて


今回行ったクリニックはテレビCMが放映されているのを見て知った。
住んでいる県名+不妊治療でググってもホームページが上の方に出てきた。
広告宣伝費にやたらお金をかけてそうで、ちょっどどうかな?と思ったけど、ホームページに不妊治療についての親切で詳細な説明があり、医師の経歴や治療の実績なども載っていて、信用に足るところだと判断した。

場所は住んでいるところから1時間弱と、少し遠い。
もっと近所の病院がよかったけど、婦人科はあっても不妊治療を専門にしているところは見当たらず、専門のところの方が設備などが整っていて不安が少ないかな、と思った。

事前予約


私が行ったクリニックでは事前にホームページから申し込みができた。
生理の周期や状態、病気・感染症・妊娠経験の有無など、詳細に書いて送ると、クリニックから折り返し電話があり、不妊治療についての軽い説明と追加質問、意思確認などがあって予約が成立する。

と言っても日程はこちらから指定するのではなく、相談しながら決めることになる。
「生理後何日目か」によって、初診の内容が変わるからだ。

私は申し込みの時点では生理が始まったばかりだったので終わってから、と思っていたら、生理3日目から薬(後に知ったけど、排卵誘発剤)を飲む治療が始められるとのことで、日にちを指定された。
でもその日は予定があったので行けず、そうしたら次の診察は排卵日の数日前が良いとのことで、再度日にちを指定され、その日に決定。
そのタイミングだと「ヒューナーテスト」というものができる。(後述します)
診察の前日か当日の朝に夫婦生活をとって、とのことだった。

ちなみに、問い合わせした時点では「不妊治療」への不安もあって、とりあえず検査だけ…と思っていた。
でもそれだと「ブライダルチェック」という形になり、保険適用外で高くつくと言われ、まあ結局子どもが欲しいのだから一緒だと思い、継続的な治療として行くことを決めた。
費用はブライダルチェックだとフルラインナップで40000円くらい(必要最低限で安いコースもある)、治療という形だと初診で同様の検査をして、保険内外合わせて25000円くらい。

初診の流れ

1:女性スタッフからの説明

受付をして少し待った後、個室に通され、女性スタッフの方から改めて不妊治療についての説明と、当日の検査の内容と費用などを説明される。
(詳しいことが冊子にまとめてあり、それをもらうことができた。)
事前予約の際の質疑によってカルテはほとんど埋まっているが、更に追加でいくつか質問を受け、カルテを完成させる。
その後血圧を測って提出し、診察を待つ。

不妊治療は生理の周期、排卵日によって日程を決め、タイミングが定まった時点で予約を入れるような形で進めるとのこと。
周期は大体1ヶ月だけどずれることもあって先が読めないから、予定を立てづらいなーと思った。

また、毎回血液検査をして結果が出てから診察するので、2時間程度は必ずかかる。
混んでいればもっとかかるとのこと。

なかなか大変だなあ…。
待ち時間が長いので、待合室には雑誌やマンガがたくさんある。

2:医師による診察と内診

少し待ったあと診察室に通され、男性の医師による問診と内診。
どっしりした、百戦錬磨って感じのおじいさん先生
(知ってたけど、選択肢があるならばほんとうは女性がよかった…。)

問診でカルテの内容についての質疑。
さすがの百戦錬磨先生、夫婦生活についてそんな風にぼかした表現なんてとらずに、「◯ッ◯◯」とはっきり言う。
それについて何か問題はあるか、と聞かれたけど、あったとしてもちょっと言い辛いわー。

その後カーテンで区切られた内診室へ移動。
下着を脱いで台に座り、スカートをたくしあげ、落ち着け、落ち着けと自分に言い聞かせて呼吸を整える。

そして台が動く。

その時の私の頭の中には、GWにペルー旅行に行った時にガイドさんがさらりと口にして思わずプーっとなってしまった、初代インカ皇帝の名前が去来していた。
まさにその状態でしかなかった。

この状態には永遠に慣れることはないと思う。
しんどいわー。

婦人科の内診の際は、覆面の着用が一般化されればいいのに、とふと思う。
待合室で名前を呼ぶ代わりに番号で呼ぶ、などの配慮があって、匿名性を重視しているのだったら、それくらいしてほしい。
そうすれば羞恥心が大分薄れそうな気がする。
代わりに笑いが生まれて、いいじゃないか。

閑話休題

横を見ると小さなテレビみたいなのがあって、膣内が写し出されている。
これが超音波検査で、子宮の状態と卵胞がちゃんと育っているかどうかなどを見るらしい。
画面を見ながらここが子宮、とかこれが子宮筋腫、とか説明される。
(私は子宮筋腫持ちなのです。位置や大きさに大きな問題はなかったようでよかった…)
画面を見ていると少し冷静になれるけど、内診の時間は長引くほどやっぱり辛い。

で、その日は先述の「ヒューナーテスト」というのもやった。
子宮の入り口で分泌される頚管粘液というのを内診時にとって、前日の夫婦生活の際の精子がきちんと取り込まれているかを顕微鏡で確認するというもの。

内診後、別室にて結果を確認。
先生は顕微鏡のようなものでとったものをのぞきこんでいて、その様子が画面に写しだされる。

それはまさに、おたまじゃくしが泳いでいるの図。
頑張って泳いでるよ、動いてるよ…!

でも私の場合、おたまじゃくし(精子)の数がちょっと少ないね、と言われた。

3:血液検査

診察後、検査のため血液をとる。
結果が出るまで1時間弱待って(マンガ読んでた)、再度診察室へ。

4:医師による診察(再)

内診と血液検査でその日わかる範囲(卵胞の発育の状態、ホルモンの値など)では異常が見つからなかったので、タイミング法で様子を見ることになった。
タイミング法ってよく聞くけど、その名前で説明されてる通り、卵胞の状態を見てタイミングを指導される「だけ」だと思ってた。
だったら自分でできる排卵検査薬で十分じゃないか、と思っていた部分があった。

そうじゃなくて、ホルモンの状態を整える薬も併用するんだね。
これは医療機関じゃないとできないことだ。

後で調べたら、薬を出すことで保険を適用することができるみたい。
不妊治療はお金がかかるというけど、タイミング法だけで終わることができればそんなにお金はかからないのだ。

今回は排卵を促す点鼻薬と錠剤、そしてもし妊娠が成立しなかった場合、生理が始まってから飲み始める弱めの排卵誘発剤が処方されることになった。

薬の働きと、服用のスケジュール、タイミングについて説明を受けるけど、結構細かくて、一度説明されただけじゃ把握しきれない。

あとは精子の数が少ないことに不安があったので、もし今回のタイミングでできなかった場合は、夫の精液検査も行うことになった。

5:女性スタッフからの説明(再)

診察後、別室にて先生から説明を受けた薬の服用方法とスケジュールについてまとめた紙をもらう。
改めて詳しく説明を受ける。

精液検査の容器も受け取り、その説明も受ける。
「採取は手を使った◯◯◯ー◯ー◯ョ◯でお願いします」など多少生々しいものになる。

夫に来てもらって病院で採取することも可能だけど、リラックスできる環境のほうが失敗がないとのことで…、家で採取して、それを私が病院に持っていけばいいそう。
(ただ採取後3〜4時間以内じゃないとだめで、早ければ早ければいいとのこと。日程は予約が必要)。

ちょっと笑っちゃったのが、「容器が大きいので、自分の量が少ないと不安になる方がいるのですが、ほんのちょっとで大丈夫ですので。」というのと、「精液は体温に近い状態で保存するのがいいので、持ってくる時は、ブラジャーの中に入れたり、ポケットの中にいれたりして運んでください。」って。
ブラジャーって!

今回タイミングをとっても妊娠せず生理がきたら、その時点で精液検査と次回診察の予約をいれるとのこと。
妊娠が成立しても、経過観察をするため予約を入れてほしいとのことだった。

今回の検査(風疹抗体、抗精子抗体などの有無や、卵巣年齢など)の結果は郵送してもらったりはできなくて、その結果は知りたいので、どっちみちもう1回は来ることになるなと思った。

結果


こんな風に色々お膳立てしてもらって、排卵を促す薬まで飲むのだから、意外と簡単に赤ちゃんできちゃうんじゃね?と期待したけど、生理は普通にやってきた。

排卵後、生理が来るまでを待つ日々は、いつもなんとなくそわそわ、ドキドキしていたけど、今回は色々対処していたので、逆に落ち着いて待てたかも。

まあ、でも、普通にやってきた。
薬の飲み忘れが結構あったので、そのせいかなー、とその時は思った。

精液検査と、次回の診察の予約をいれた。
(精液検査の結果次第で診察の内容が変わるかもしれないので、精液検査は診察前にやるのがいいとのこと。)

精液検査&結果


で、先日、夫も一緒に、精液検査に行ってきたんですよ。
夫も子どもが欲しいと思っているので、不妊治療には協力的。

精液は家で採取し、私のブラジャーではなく夫のポケットに入れて持っていった。
提出したらその日のうちに結果は出るけど、1時間くらい待たされた。

気楽な気持ちで待っていたけど、結果は結構重かった。

夫の精子は濃度、運動率ともに悪く、奇形率も高かった。

私の前回の検査の結果に問題はなかったので、「男性不妊」という形だったことがわかった。

この結果で自然妊娠は難しいからと、次のステップである人工授精を薦められる。
あと、精子の質を高めるため、夫用の漢方薬も処方されたけど、効果には個人差があるとのこと。

人工授精は、病院で調整した精子を細い管で子宮内に挿入するというもの。
保険適用外なので、一気に費用が高くなる。21000円。

そっかー、これがリアルかあ、と思った。

「人工授精 確率」などで検索すると、不安ばかりが募ってしまう。

でもわからない未来のことばかりを考えて、闇雲に不安になっていてもしょうがないもんね。
その時にできる最善のことを、ただやるだけだ。
未来のことは、結果を見て、その都度考えればいい。

今週また診察だー。
夫は漢方以外にマカと亜鉛のサプリも買ってきて、頑張って飲んでいるもよう。

そんな感じで私と夫の不妊治療は、<つづく>


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ブックマークのタグ検索で、こちらのブログを見つけて、何だか勇気づけられました。

不妊治療やってみた - 世界の果てのはてな

初代インカ皇帝ネタも既出でしたね…!