この小さな世界から、もっと遠くへ


今週のお題特別編「この春に始めたいこと・始めたこと」
〈春のブログキャンペーン 第2週〉


この春に始めたことは、考えてみれば色々あった。
車の運転の練習もそのひとつ。

今の家に引っ越してきて、半年経つ。
もう、半年…!
早い。

この街は完全なる車社会。
車に乗れないと、どこにも行けないよ。

そんな風に脅されながら、自転車で行ける範囲にスーパーとかドラッグストアとかホームセンターとか本屋とかジムとか結構充実していたし、電車の駅も近いので、まあ普通に暮らしてた。

普通に暮らせてるヨ☆と、逃げてた。

運転から…。


私は、運転がこわい。
異常に苦手意識がある。
それはトラウマがあるからだ。


私が免許を取ったのは、18の時。

でも、免許を取るのに半年以上かかった。
超超超、苦労した。

なぜかというと、非公認の教習所に通っていたからだ。
値段の安さにだまされた。

普通の教習所だと、いつも練習しているコースで仮免許と本免許の試験を受けられるけど、非公認の教習所だと、その試験を警察の管轄の運転免許センターの試験場で受けなくてはならない。
これが超、厳しいのだ。

仮免許も本免許も、何度も落とされた。
その度、免許センターのトイレで一人で泣いた。
マジです。

試験を受けるのだってお金がかかる。
追加で練習のための教習を受けるのにも、もうコマを使い切ってて、お金がかかるのだ。
期限も迫ってきて、気持ちはどんどん追い詰められた。

免許センターのスタッフの人は、基本的に警察の人なのだろうか。
私が受けたところは、なんかおじさんが多かった気がする。
しかもすごく横柄な。

そのせいで警察のイメージまで悪くなった。
ごめん警察。


私が試験に受かったのは、なんと仮免許の期限が切れる1週間前だった。

試験には駐車が正しくできるか、という項目があって、80%はバックでの駐車で、稀に縦列駐車が出ることがあるけどほとんど出ないから練習しなくていいよ。と言われていた。

実際何度も落ちた私も、縦列が試験に出たことはなかった。


なのに、出た。
そんなぎりぎりの瀬戸際で。
ふざけんな警察。


その日の試験で、「縦列」と指示された途端、私の頭は真っ白になった。
練習したのはもうだいぶ前。
記憶はおぼろだ。


「…ちょっと、考えさせてもらっていいですか」
思わずそんなことを口走る私。
「ハァ?試験中だよ!」と一蹴されて涙目。


心細い記憶をたよりに何とか駐車したけど、出来栄えはひどかったように思う。

落ちた。完全に落ちた。
仮免許も切れるから、また0からやり直しだ…

試験の最後、車から降りる時に試験官から結果の紙を受け取るのだけど、その時の私はもうほとんど泣いていた気がする。
ふるふるふる…みたいな。


でも、結果は合格だった。
この時私は、「鬼の目にも涙」ということわざの意味を身をもって知った。


今でもあの時は、きっと私がすごく気の毒な感じだったから、受からせてくれたのだろうと思っている。

でも、もう二度と運転はしたくない!と思った。
こんな思いはもうたくさん。(試験じゃなきゃこんなことないけど…)
車になんて触りたくない!


それから12年近く経つけど、マジでそれから1、2回しか運転してなかったわけで。
今更運転とか、したくなかったわけで。

でも今、しなきゃいけない局面に、立ってるわけで…。


この4月からようやく、教習所のペーパードライバー講習に通い始めた。
1、2回目は教習所内のコースで練習して、3回目の昨日は超超超久しぶりの、路上!

なんだろう、やっぱり、12年も経つと、人間変わってるもので。
大学や会社で成功も失敗もたくさん経験して(失敗の方が大分多い)、色々なことを学んで、18の世間知らずで怖いもの知らずの若造の時とはもう、運転する時の心持ちからして違うわけで。

用心深くなって、ある程度先を予測して動けるように、なってるわけで…。

ドキドキして、シートベルトをせずに出発しようとしたりとか、ちょっとしたうっかり☆はあったけど(もちろん注意される)、そんな大きな失敗はなかった。
コース内のS字やクランク(な、懐かしい響き…)で溝に落っこちることもなく、駐車でもぶつけることもなく。

まだハンドル操作や車幅感覚に慣れず、右側に寄り気味に走ってしまったりはするけれど、昨日の路上も滞りなくこなすことができて、ほっとした。

大丈夫な気がしてきた!
油断は禁物だけど!


もう1回路上で、今度は細い道を中心に練習して、そうしたらもう実車デビューだ。
そのうち自分のために小さな車を買って、そうしたら大分行動範囲が広がるのかな。

この狭い世界を出て、もう少し遠くまで、行けるようになるのかな。

そう考えると、楽しみになってくる。

運転、がんばろう。

いつかSUPERCARを聴きながら、ドライブしよう。


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