春をつかまえたい


春はずっと苦手だった。

4月に入った途端に、日本の人口ちょっと増えたんじゃね?と思ってしまうほど、電車がぎゅうぎゅうになる。

学校にも会社にも知らない人たちがやってきて、みんなそわそわして、空気までわさわさしだす。

こないだまでぶ厚いコートを着ていたのに、急にそれを脱ぎ捨て、身軽そうに街を闊歩する人々。


ちょっと、その変化、対応できない。

電車が混みすぎて、せっかくこの1年で「この駅で降りそうな人」の目星をつけ、席の前に陣取るというスキルを身につけたのに、その人を見失ってしまう。

知らない人がたくさんいると、人見知りの私はなんだか、人間界に慣れていない野生動物のように、体中の毛が逆だってしまう。(そんな気になる。)

てゆうか、ぼちぼち暖かい日もあるけど、基本的にはまだ、寒いですよね。

厚手のコート、着てたいんですけど。

お花見の時っていつも、ダウンがユニフォームでいいんじゃないかって思うんですけど。


でも、好きになりたいよ、春を。

桜はとってもきれいだし。


きっと私は春に期待しすぎてしまうんだ。

寒い寒い冬の間に、春をずっと待ちわびて、3月がやってくると、ようやく暖かくなる!とついフライング喜びに満ちあふれてしまうけど、全然寒くて、いつも肩透かしをくらう。

4月になれば生きとし生けるものすべてがいきいきと輝き出す、そんな気がしてしまうけど、自分はといえばちっとも輝くことができず、緊張と寒さで縮こまる。

ようやく暖かくなり、いざ喜びをかみしめんとする頃には、5月病に羅漢する人が増えてくる。

そして、すぐに梅雨がやってくる。


いい加減、慣れたいよ、このサイクルに。

それでも私は春に期待することをやめられない。


名実ともに一致した「春」、それはほんの一瞬のことなのかもしれないし、もしかして私の心の中だけにある妄想の産物なのかもしれないけど、それでもいつか、つかまえたいよ。

ほんとうの春を。


歌の中にはある気がするのにね。


スピッツ / 春の歌 - YouTube


気持ち的にはこっち。(youtubeがない)

ただ春を待つ

ただ春を待つ


今週のお題「春を感じるとき」