「幕が上がる」感想

 
思ったことを、早く、言葉にしないと。形にしないと。
どんどん、うすまって、遠ざかってゆく。
 
ほかのことをしていると、その間に、自分のなかの言葉が消えていく。
だから、早く、書き留めないと。
 
そんな切実さで、映画館を出てからずっと、映画を見ながら自分が思ったことを頭のなかで反芻しながら、家への帰り道を急いだ。
 
宇宙は、この世界は、自分が進んでゆく、それ以上の早さで広がってゆく。
だから永遠にどこにもたどりつけない。
映画のなかで、言われてた。
 
だけど、つかまえたくて、手にしたくて。
 
とりあえず今は、とりとめのない思いを形にしようと、必死にスマホにむかっているのです。
 
映画「幕が上がる」を見てきました。
 
撮影された場所が自分にとってゆかりのあるところだったので、ももクロのこともあまり知らないけれど、とりあえず見てみようと思ったのです。
 
そんな軽い感じで。
 
でも、思ってたより、すごく、よかった。
 
以下、断片的な感想です。
 
山と、水の流れと、やたらに広い空と。背の低い建物ばかりだけど、そびえ立つ工場の煙突は、高くて。
私、この光景、知ってる。見たことがある。
 
部活のあの感じも、知ってる。
若い、青い、女の子たちが、少人数で集まって、時々ぶつかりながら、何かに向かって一生懸命になる、あの感じ。
 
でもそれはあの時だけのもので、卒業して散り散りになれば消えてしまう、そうゆうものだっていうのも、わかってる。
 
だからすごく尊く見える。
 
みんなでひとつの、同じ何かに向かって進んでいると、その過程で、同じ経験、同じ思いを共有して、それが共通言語を形作ってゆく。
 
自分たちにだけしかわからない言葉。その時だけ切実な意味を持って響く、特別な言葉がある。
 例えば、「行こうよ、全国」。
 
自分の気持ちに忠実になるほど、厳密になるほど、ばか正直に、自分の思ってることが「わからない」。
 
でもそれを形にできるように、背中を押してくれる、導いてくれる人に出会うということ。
その、宝物みたいな出会い。
 
あーあ、いいな。
 
そうゆう二度とない日々のぐっとくる瞬間、そんなものがつまった映画でした。
 
私の高校時代の部活動の経験なんてたいしたものではないけど、それでも、主人公たちにあの時の自分たちを重ね合わせて、追体験した。
 
この映画ほどではなくても、自分もそうゆう瞬間や思いのかけらを知っていたこと。経験できたこと。
 
よかったよなあ。
 
と、つくづく、思いました。
 
細かいことを思い出していくと、すごく痛々しかったり、はずかしかったりもするのですが。
 
今日は夫が用事で帰省していて、ひとりの夜です。
今日、ひとりでこの映画を見ることができてよかった。
自分の思いに、じっくり向き合うことができて、よかった。
 
そんな色々を感じさせてくれた、映画でした。